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整形外科

変形性膝関節症

 「変形性膝関節症」は、整形外科医院でもっと患者さんの数の多い疾患です。
一言でいうと膝関節の軟骨がすり減る病気です。近所の中高年の女性の中で必ず一人くらいは「病院で膝にたまった水を抜いて注射を打ってもらっている」という方がおられるのでは、と思います。

 ヒアルロン酸の関節注射は変形性膝関節症の最も重要な治療法の一つです。
ヒアルロン酸は膝関節軟骨の成分であり、軟骨の摩耗を防止しさらに再生を促す作用があるとされています。また、膝関節の周囲に作用して疼痛(=痛み)を緩和する作用があるとされています。

 ヒアルロン酸注射は、初回は、週一回の割合で5回連続して行います。つまり5週間です。それでも疼痛が緩和しない場合は最短で2週間に一回の割合で追加できます。
当院の患者さんの中にも、2週間・4週間・2か月に一回などの割合でヒアルロン酸を関節注射なされる方がおられます。例えは良くありませんが、ちょうど「定期的に機械に油をさす」という感覚です。患者さん自身も「時々注射しておくと膝の調子が良い」とおっしゃいます。

 関節注射と同様に重要な治療法は「インソール」です。インソールとは靴の中に挿入して使用する中敷きのような装具です。
日本人を含め東アジアの人々はいわゆる「O(オー)脚」です。ですから、体重がかかるライン(=「過重線」)が膝の内側を通過するため内側の関節軟骨が摩耗し、多くの方が「膝の内側が痛い()」と訴えます。内側に比べて外側で厚いインソールすることによって、この「過重線」が通過するラインを内側から外側へ偏移させることで、内側の軟骨の摩耗を防止する効果が期待できます。インソールを用いた治療法は即効性に乏しいのですが、10年後の膝関節軟骨のことを考慮すると強く推奨される治療法です。

 3つめが専用の外用剤(シップ)です。当院で変形性膝関節症の患者さんには「関節症専用のシップ」を処方することが多いです。関節症専用ですから、腰や首が痛いからと言って、膝以外の部分に貼ってはいけません。使用上の注意点がありますので、十分な説明を受けたうえで貼ってください。

 以上3つの治療を施したにもかかわらず、治療効果が得られない場合は「運動器リハビリテーション」を行います。当院は理学療法士が3名います。ひとり一人の患者さんを1名の理学療法士が担当して、膝関節の可動域改善訓練や、立ち方や歩き方の指導も行います。
予約制をとっておりますので、医師あるいはスタッフにご相談ください。

 重症の変形性膝関節症の患者さんで、前述の治療法にも効果が得られない方には手術をご提案いたします。あくまでご提案ですので最後はご本人の判断になります。年齢にもよりますが、多くの場合人工膝関節が選択されます。
昨今の人工膝関節の進歩は目覚ましく、術後約3日で歩行可能となります。
近隣の総合病院整形外科で膝関節(特に人工膝関節)を専門とする整形外科医師を紹介いたしますので、当院医師にご相談ください。

:多く方が「O脚」であるという理由から、前述のように膝の内側が痛くなります。
ただし、注射は外側に行います。関節は単一の袋(=関節包といいます)に包まれているので、どこからヒアルロン酸を打ってもその袋の中のすべての部分にヒアルロン酸がいきわたります。ちょうどバスタブの中に入浴剤を投入するとバスタブ全体に入浴剤が広がっていくのとまったく同じです。
ですから、最も注射針が関節包を貫通しやすい場所:すなわち膝の外側から注入します。この部位では膝蓋骨と大腿骨の間に大きな隙間があって、注射針を関節包に貫通させやすいからです。

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